2010
日中関係の話の続き。まあ、さすがにここまで何度と無く煽られると、こちらも免疫が出来てくるというか、中国の国内問題で国民の目を逸らしたいことがあるんだな、と。中国は人口が多すぎて、一万人が怒ってても、全体の比率で見れば微々たるものなんですよねぇ。そもそも、情報が未だにフリーにならない国ですし、事の本質が何処にあるのやら。
( ・ω・) つーか、尖閣諸島が中国領なら、沖縄だって余裕で通るから凄い
僕も何だか、良く分からない話だったなぁ。だって、義理とはいえ、モロゾフさんは父親な訳で。トーマスさんは……何だか分からないけど、家族ではあるって、ジュリも認めてたし。
ま、ジュリにはジュリなりに、譲れない一線みたいなものがあるんだろう。だったら別に、それを無理に壊したりする必要は無いよね。
「あら」
不意に、クリスさんが声を漏らした。前方を凝視して、僕もすぐさま、その理由を把握する。
「あちゃー」
眼前にあったのは、土の壁だった。どうやら、ここもさっきの穴同様、天井から崩れ落ちてきたらしい。唯、決定的な違いは、さっきの穴はかろうじて通路を塞ぎきらなかったけど、ここは完全に埋まってる点だ。ここが出口に繋がってるとすると、かなりまずい状況と言える。
「鉱山って、こんなしょっちゅう崩れ落ちるものなんですかね」
入り際に、危険があっても自己責任である旨を告げた責任者の顔を思い出す。そりゃまあ、モンスターとの戦いならある程度は腹も括れるけど、こういう人災に近い形となると、納得しきれないものもあるなぁ。
「ポルトガって、王国自体が随分と腐敗してるらしいから。ここの鉱山も、鉱夫の都合も考えず、結構な無理をしてるのかも知れないわね」
言葉を選んで、『都合』とか『無理』って言ってるのは分かるけどさ。こんな環境じゃ、ちょっと間違っただけで大怪我で、更に間違っちゃったら死んじゃう訳じゃない。幾らポルトガの主要産業の一つだからって、これは無いと思うんだよ。
「とまあ、言うだけなら只なんだけどねぇ」
憤ってみたところで、その感情だけで世の中を動かせる器量や力がある訳でも無くて。世の中っていうのは、難しいよね。