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 黄龍ちゃんに於ける月読之命と言えば、それはもう、高位神とは思えないダメっぷりを披露しています。でもよくよく考えてみた。設定上は、日本神話に於けるそれをほぼ流用してる訳で、要約すると、『生まれながらに次善であることを宿命付けられた闇の貴公子』になる訳です。あれ、シリアスな作品なら、人気出るポジションじゃね?

( ・ω・) 残念ながら、黄龍ちゃんはあんな作風だけどね!

「ん? 何、泣いてんのさ?」
「え?」
 シスに言われるまで気付かなかったけど、僕は、まるで頬に二つの小川が出来たみたいに涙を流していた。
「幾ら家族の手紙だからって、そんなダラダラ泣くかなぁ、普通」
「違うよ。これは何て言うか、兄さんは尊敬に値する勇者だって思ってさ」
 身内としての贔屓目を抜きにしても、勇者としての資質を遥かに濃く受け継いでいると思うんだ。
「ま、あたしゃ会ったことないし、何とも言えないけどねー。面白そうって言っても、アレク程じゃなさそうだし」
「ですの」
 え、君達の基準で、僕って面白い男だったの。ちょっと光栄なことではあるんだけど、少し二人の将来が心配になってきたよ。
「それで、裏は読まないの?」
「裏?」
 言われて気付いたけど、手紙はこれで終わりじゃなくて、先があるみたい。割と厚みがある紙だし、樹脂で包まれてるから透けてないし、分からなかったのもしょうがないと思うんだ。
「『さて、ここからは私事の上、余り必要が無いとも思うんだが、念の為に書いておこうと思う。いや、幾ら俺と言っても、首をもがれたり、心臓に杭を打たれて生き延びられるとも思えない。だから、あんま気は進まないんだが、生きている内に伝えておくことがあるかを、考えてみようと思う』」
 こと公務に関しては無敵に近い兄さんも、自身の死生となると確信が揺らぐ辺り、可愛いところがあるなと思ってしまう。いや、自分の兄を可愛いとか言い出すのもどうかと思うんだけどさ。

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