2010
えー、まあ、何と言いますか、我が愛する横浜ベイスターズの最近の凄惨っぷりが逆に凄いことになっていますが、最近はあれですね。試合がない方が遥かに心の平穏を保てますね。全試合雨で順延すれば悟りを開けるんじゃないかってくらい。どれだけ心が支配されてるんだよという問いは、聞くだけ野暮なのでさておくとして。
( ・ω・) みんな! 何処かのチームを応援するというのは中毒みたいなものだぞ!
『ホイミ』
言葉と共に、蓄えた魔力をシスの傷口に流し込んだ。元が魔法使い志望なだけに、どうもこの回復呪文って奴は苦手だけど、アクアさんが大怪我した場合なんかを考えたら、そう好き嫌いも言ってられない。
「しっかし、下手な回復呪文だよねー。傷口塞がるの、普通の三倍くらい掛かってるよ」
魔法の才能が全く無いシスに言われたくないやい。
「回復呪文の秘訣は、大いなる愛ですの。アレクさんも、自らの内にある愛を自覚すれば、きっとうまくなりますわよ」
アクアさんの底が知れないところは、これが本気なのか冗談なのか、判別が付かない点だ。一年以上一緒に旅をしてるけど、この人を理解しようとすればするほど、深さを思い知らされて、体感的には遠ざかってる気さえする。
「アクア学って、一生を費やすに値する学問として確立されてもおかしくないと思うんだよ」
「ですの?」
「何の話さ」
言ってみただけで、僕にもちょっと、良く分からない。
「そういや、今まで気にしたこと無かったけど、回復呪文って、どういう理屈で治る訳?」
何度と無くお世話になってきて、今更気になるシスも、大概、大物だと思う。
「ホイミや簡略的なベホイミは、人間が本来持ってる治癒力を増幅させることで回復させるだけなんだ。だから、余りに酷い怪我だと後遺症や傷跡が残ることもあるね」
骨が粉々になるまで砕けてしまった場合なんか、どんな医学的な施術をしたとしても、元の機能を取り戻すのは難しい。それは、人間の持つ治癒力を超えているからで、それを促進するだけの初歩の回復呪文で補い切るのは難しい。