2011
ドラえもんがタイムパトロールに咎められないのは不可思議であるという論があります。たしかに、タイムマシンを用いての利得行為は違法なのだそうで、野比氏が将来発生させるであろう借金を消す行為は、充分に利得行為であると言えるでしょう。ですが、組織とは、その様に杓子定規に動くものなのでしょうか。最高練度まで鍛えられた軍隊ならいざ知らず、同作者の作品である、『タイムパトロールぼん』を読む限り、あの組織はかなり緩い部分があると言わざるを得ません。おそらくは、大長編で幾度か繰り広げられた、『世界を救った』事実と引き換えに、黙認されていると考えるのが、自然なのでは無いでしょうか。
( ・ω・) 今日も私の脳内は、極めて通常営業です
これでも、数年に渡って書を嗜んで、二年近く旅を続けてきた身だ。人体の構造については、医者や高位僧職程とまではいかなくても、それなりには知っている。その上で言えるのは、単純な握力だけで肩を外したり砕いたりするのは並大抵のことじゃない。肉体的才能に恵まれた人間が、幾年も鍛錬を重ねないと到達は出来ない域だろう。それをこいつは、魔法使いの身で、純粋な才能のみで成してしまった。頭では理解していたつもりだったけど、生まれ持った容量の違いに、全身が震えそうになっていた。
『少しは分かって貰えたでしょうか。魔法を封じられようと、君達を捻り殺すことくらい、なんてことは無いのですよ』
「ぐっ」
言葉通り、実力の差は明確だった。魔法を使えない現状ですら、剣技のみで奴を倒すことは至難だろう。
『ホイミ』
『スカラ』
だけど、僕のやるべきことは、当面の時間稼ぎだ。治癒呪文で痛みを軽減させ、防御呪文で耐久性能を上げれば、持ちこたえることくらいは出来るはずだ。
『やれやれ。何故、人間という奴はこうも現実を見ないのか。ことの全てが、自分の思った通りに動くと信じて疑っていない。ここまで来ると、悪徳とさえ言って良い』