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 一昔前、カルト系宗教団体に高学歴の人が多数集まっていて、『どうしてこんな頭の良い人たちが宗教に走ったのか』という議論がされました。まー、個人的には、思考と決定を他人に委ねた時点で頭良いとも思いませんが。頭が良いって、高度な数式を解くことでも、年表を丸暗記することでもなくて、自分の頭で結論を導くことなんじゃないでしょうか。程度の差はどうあれ。

( ・ω・) そういう意味で、朱雀は間違いなく賢者。認めたくないけど

『そもそも』
『勇者オルテガが、どの様にその姿を消したか御存知ですか』
「一応は」
 父さんは、バラモスの城へと向かう途中、ネクロゴンドの山中で行方知らずとなったと聞いている。魔物と戦っていて火山に落ちたとか、魔物達の集中砲火で消し炭となったとか色々言われているけど、見た訳じゃないし、信じていない。いや、信じようとしていない。
『おかしいと思いませんか?』
「何がです」
『彼の居城は、悪しき結界に守られし要害』
『勇者と呼ばれ、知恵も力も兼ね備えていたはずのオルテガが、何ゆえ、人の足でそこへ向かおうとしたのか』
 んー。何しろ僕は、父さんの記憶が殆ど無いしなぁ。大穴回答として、父さんは突撃しか能が無い猪武者だった……ってのはダメだよね、やっぱり。
『答は意外と平凡』
『順序が逆だというだけの話です』
「ん?」
 一瞬で、飲み込むことが出来なかった。
『かつてオルテガがバラモス討伐に向かった頃、結界はありませんでした』
『その様な物に頼らずとも、元が人里離れ、山々と大河に囲まれた堅牢の地』
『軍を率いたところで、返り討ちに出来るという目算があったのでしょう』
『ですがそこに、数えるほどの勇士だけで乗り込もうとする猛者が現れました』
『それが、勇者オルテガ』
『結果こそ残りませんでしたが、慎重な性格のバラモスは居城の防備を強化』
『その集大成と言えるのが、今、結界と呼んでいる防護壁なのです』
「はぁ……」
 えーと、それってつまり、父さんが余計なちょっかい掛けたから、より堅固になったってこと?
 あれ、ひょっとして、ちょっと怒られてる?

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