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 尖閣諸島問題で拘束されていた中国人船長が、名目上は沖縄地検の判断で釈放されたそうです。まあ、実態は、仙石官房長官の判断らしいんですけど。もう、何でしょう。折角、薄っぺらい脱小沢で最低限戦える体制を作ったっていうのに、わざわざ評価を落とす真似をするだなんて。ってか、民主党政権を馬鹿だ馬鹿だと罵ってましたけど、まさかここで解放する程には馬鹿じゃないだろうとは思ってたんですが、ここまで馬鹿でした。馬鹿って元々、権力者に屈して、鹿を馬って言うことですし、二重の意味でピッタリですよね。

( ・ω・) 呆れてるけど怒りは大したことないところをみると、元々、期待はしていなかったようだ

「うわっと」
 坑道を抜けると、そこには巨大な空洞が存在していた。どうやら、ここが鉱物採取の中心現場らしい。その広さは、その気になればちょっとした騎士団が演習を出来るんじゃないかって程だ。本当、人間って奴は、欲とか利益が絡むと、とんでもないことでも出来るんだなって思うよ。
「ところで、さ」
 松明を掲げて、周囲を見渡しながら、そんな言葉を漏らした。
「何処からなら、帰れるんだろうね」
 半球状の空間に、蟻塚みたいにポコポコと穴が空いてるもんで、どれが外に通じてるのかはさっぱり分からない。元々は、直下の坑道に落ちてきたんだけど、その先に関しては曲がったり、多少の上下もあったりする訳で、今居る場所の真上から帰れる確証はない。そりゃ、ここで働いてる鉱夫達には自明のことなんだろうけど、初めてここに来た人への配慮ってものがあっても良いんじゃないかなぁ。
「ここまで来たら、いっそこのままモンスターを倒すっていうのもありやも知れないわ」
「本気で言ってます?」
 何しろ、当初の予定から見れば人数的に半分、更に言えば、お互いのことを良く知らない急造の三人組だ。幾ら主力の剣士が二人居ると言っても、互いの腕と腹を知りきっていない状態じゃ、背中を任せるには心許ないものがある。
「……」
 一応、僕も剣士扱いだからね? 魔法も使うけど、今回はあくまで前衛役だよ?
「それにしても、変な話ね」
「何がですか」
「責任者の男は、『入り口の坑道の一番奥』にモンスターが居ると言っていたのよ。言葉尻から察するに、ほぼ一本道でないと辻褄が合わないでしょ」

 

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 いきなり秋めいてるってレベルじゃねーぞ。といった感じで涼しすぎます。誰だ、気候管理してる奴。仕事適当すぎやしませんかね。
 『やべぇww 暑さスイッチ切るの忘れてたwww 面倒だから軽く冬スイッチ入れとこうwww』って感じです。

( ・ω・) 何も彼岸きっちりに、思い出すこともないじゃない

「じゃあ、あの僧侶は?」
「アクアさん?」
「そう。あの無駄に色気を振り撒いてる、煩悩刺激型破戒僧」
 な、何だかさっきから性格が変わりまくってませんか。或いは、ようやく疲れが抜けて目が覚めたのかな。
「アクアさん、ねぇ。うん、まあ、美人だし、色気も多いから、最初はすっごくドギマギしたけど、今はすっかり、近所の美形だけど変わり者のお嬢さんを見る道楽爺さんみたいな感じになってます」
 あれ、僕、何を言っちゃってるんだろうか。
「その、アクアって言うのは誰?」
 ああそうか。クリスさんは、アクアさんを知らないのか。
「僕の仲間の僧侶です。年齢は多分、クリスさんと同じくらいで、性格という意味では、凄く独特です」
 あの人の特徴を簡潔に伝えるに辺り、人間面での解釈を外せないというのは、理解して貰いたいところだと思う。
「美人で、色気があるって話だけど」
「そこって、重要なんですか?」
 第一印象として心に残るっていうのは間違いないけど、こう長いこと付き合ってると、そこの部分は割とどうでもよくなってきた。
「私よりも?」
「……」
 ん?
「ソコは、そんなに重要な話ナノでしょーか」
 うわ。トーマスさん並に、滑舌が酷いことになってるし。
「ふふ、冗談よ。お姉さんの自慢話に、ちょっと嫉妬してみただけだから」
「は、はぁ」
 どこの世でも、女の嫉妬は国さえ滅ぼす。今の言葉を額面通り受け取る気はないけど、気には留めておこう。将来、気付かない内に憎愛劇の中心に居て、良く分からない理由で刺されたりするのは御免だからね。

 

 ツンデレってあるじゃないですか、ツンデレ。あれって、正直、デレたら魅力半減というか、大概、キャラクターとしてアウトだと思うんですよ。結局、中途半端なキレキャラと化して、叩かれる温床になると。
 今日の格言、『ツンデレは、デレたら負けと、思ってる』。

( ・ω・) しかしこのスペース、話の飛びっぷりがおかしいな

「とりあえず、戻りますか」
 この土砂を掘り崩して進むのは、最後の選択肢だ。労力がそもそもバカにならないし、更に崩れてくるかも知れない。ここは、坑道全体を把握するのが先決だ。もしかしたら、他の穴に通じてる場所があるかも知れないしね。
「それが、次善策といったところね」
 ま、さっきの場所に戻れば、上からの穴が通じてる訳だし、どうにでもなるよね。僕は呑気に、そんなことを考えていた。

「ねぇ」
 戻りの道すがら、今度はジュリが声を掛けてきた。
「どしたのさ」
「アレクって、あの盗賊とどういう関係なの?」
「はい?」
 世の中、意外な方向から矢が飛んでくることがあるものだと思う。
「えっと、クリスさんが聞いた訳じゃないですよね」
「そりゃ、まあ、ね」
 何しろ、顔の位置も方向も、声質までが違う。聞き違いとするには、ちょっと無理がある。
「シスとの関係、ねぇ」
 ジュリがそんなことを聞いてきたことに対する驚きはさておいて、とりあえず真面目に考えてみる。客観的に考えれば、若くして道を踏み外そうとしてる少女盗賊を勇者が保護したって感じになるんだろうか。何しろ、最初の最初に、ウマが合いそうだから旅の道連れにしたってだけだからなぁ。実際、一年半くらい一緒に居るけど、特に大喧嘩したこともないし、直感は当たってたんじゃないかって思う。
「多分、保護者と被保護者、かな。一応言っておくけど、僕が保護者の方ね」
 何にしても、無難な回答をしておこう。シスに又聞きされたらふくれっ面になるかも知れないけど、それくらいならいつものことだから、気にしない方向で。

 日中関係の話の続き。まあ、さすがにここまで何度と無く煽られると、こちらも免疫が出来てくるというか、中国の国内問題で国民の目を逸らしたいことがあるんだな、と。中国は人口が多すぎて、一万人が怒ってても、全体の比率で見れば微々たるものなんですよねぇ。そもそも、情報が未だにフリーにならない国ですし、事の本質が何処にあるのやら。

( ・ω・) つーか、尖閣諸島が中国領なら、沖縄だって余裕で通るから凄い

 僕も何だか、良く分からない話だったなぁ。だって、義理とはいえ、モロゾフさんは父親な訳で。トーマスさんは……何だか分からないけど、家族ではあるって、ジュリも認めてたし。
 ま、ジュリにはジュリなりに、譲れない一線みたいなものがあるんだろう。だったら別に、それを無理に壊したりする必要は無いよね。
「あら」
 不意に、クリスさんが声を漏らした。前方を凝視して、僕もすぐさま、その理由を把握する。
「あちゃー」
 眼前にあったのは、土の壁だった。どうやら、ここもさっきの穴同様、天井から崩れ落ちてきたらしい。唯、決定的な違いは、さっきの穴はかろうじて通路を塞ぎきらなかったけど、ここは完全に埋まってる点だ。ここが出口に繋がってるとすると、かなりまずい状況と言える。
「鉱山って、こんなしょっちゅう崩れ落ちるものなんですかね」
 入り際に、危険があっても自己責任である旨を告げた責任者の顔を思い出す。そりゃまあ、モンスターとの戦いならある程度は腹も括れるけど、こういう人災に近い形となると、納得しきれないものもあるなぁ。
「ポルトガって、王国自体が随分と腐敗してるらしいから。ここの鉱山も、鉱夫の都合も考えず、結構な無理をしてるのかも知れないわね」
 言葉を選んで、『都合』とか『無理』って言ってるのは分かるけどさ。こんな環境じゃ、ちょっと間違っただけで大怪我で、更に間違っちゃったら死んじゃう訳じゃない。幾らポルトガの主要産業の一つだからって、これは無いと思うんだよ。
「とまあ、言うだけなら只なんだけどねぇ」
 憤ってみたところで、その感情だけで世の中を動かせる器量や力がある訳でも無くて。世の中っていうのは、難しいよね。

 

 日中関係がアレなことになっていますが、個人的な印象としては、『わざわざ挑発しておいて、乗ってあげたのに、何でそっちがキレてるん?』的な。ケンカって、一方が無闇に白熱すると、もう一方はどんどん冷めていくと言いますが、そんな感じです。

( ・ω・) 中国政府も、煽りすぎて落とし所が見えて無いってのが真相に近いと思うんだ

「洞窟や、採光の悪い塔なんかに良く入るから思うんだけど、何で周囲を照らす呪文が無いのかしら?
 メラなんかだと扱いが難しいし、熱いし、気を食い潰すし、余り効率的とは言えないわ」
「純粋に、光だけを生み出すってことですか?」
「戦闘では目眩ましくらいにしか使えないけど、私達冒険者にとっては、多様性があるものよ」
「は~」
 いや、割と本気で感心した。成程、たしかに現代の魔法系統は戦闘の役に立つものが主流で、そういった細かい補助呪文はないがしろにされている。洞窟とかに入るのが少なかったせいか、その発想は無かったよ。
「面白そうなんで、将来の研究課題にさせて貰います。まあ、あくまでこの旅を終えられればですが」
 今の僕にとって重要なのが、その戦闘に特化された呪文だっていうのが、ちょっと皮肉というか、残念な話だと思う。
「魔法学者志望なのかしら」
「漠然とした夢の一つってところですが」
「夢があるのは良いことよ」
 その言い様に、復讐に身を染めた自嘲を垣間見た気がして、次の言葉を継げなくなってしまう。
「お嬢ちゃんは、何か夢って持ってるのかしら」
「……ん」
 そんな僕に気を遣ってくれたのか、クリスさんは話をジュリに振った。
「家族が……欲しい」
「あら、お嫁さんってことかしら。随分とおませさんね」
「……」
 その言葉に、ジュリはプルプルと首を振った。
「家族は……家族」
「だから、旦那さんを見付けて一緒に暮らしたいってことでしょ?」
「……」
 もう一度、ジュリは首を横に振った。
「家族」
「そ、そう。分かったわ、家族ね」
 結局は、クリスさんが折れて、この話題は打ち切りとなった。

 



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