この作品を始めるに当たって、何の疑いも無く、公康と岬のコンビを選択しましたけど、冷静に考えると他のキャラでも良かったんですよね。講師役は他に居ないとも言えますけど。
( ・ω・) 逆に、遊那と茜辺りだったら、絶望的なレベルで成り立たない……!
【国会議員になる為に・弐】
岬:比例代表制とは、政党政治の現実を踏まえた上で、
死票を少なくすることを目的に作られたシステムです。
公:死票……って、つまり、落選者に入れた票のことか。
岬:はい。前に触れましたが、小選挙区は二位以下は一票でも負けていれば落選ですから、
余程の有力政治家でもない限り、当選者の得票は50パーセント程度、
低い時は30パーセント程度にまで落ち込みます。
公:裏返せば、50~70パーセントの、『民意が反映されてない票』があるってことか。
岬:それを緩和するのが、比例代表制です。衆議院では、日本を北海道、東北、北関東、
南関東、東京、北陸信越、東海、近畿、中国、四国、九州沖縄の十一ブロックに分けて、
党公認の候補を選出する選挙が行われます。
公:俺は未成年で選挙行ったこと無いんだが、『比例は●●党、●●党に宜しく』って奴か。
岬:そうですね。比例では原則、政治家名ではなく、政党名を記入するのが基本です。
参議院などでは個人名でも政党票として扱うこともあるのですが、
ややこしいのでとりあえずは忘れてください。
公:で、その集まった票をどう処理するんだ?
岬:分かり易い様にサンプルブロックを作りましょう。定員10名のブロックに、
100万の有効票が集まったとします。
A党は60万票、B党は30万票、C党は10万票を獲得しました。
さて、公平な議席の分配とはどの様な形でしょうか。
公:あー、A党に6議席、B党に3議席、C党に1議席ってことになるな。
岬:正解です。もちろん現実にはこんな綺麗に分配されることはなく、幾らか死票も出ますが、
それでも小選挙区に比べれば大幅な削減が望めます。
公:良い制度じゃないか。むしろこっちを主流にすべきなんじゃないのか。
岬:実際、こちらが殆どを占める国も少なからずありますが、
これもまたメリットだけのシステムではありません。
第一に、政治活動をすべきエリアが異常に広く、選挙費用が膨大になる点です。
先輩、九州沖縄、全県行脚とか毎年の様にしたいですか?
公:全力で断らせて貰う。
岬:この点、小選挙区であれば一候補が回るべき場所は、各都道府県の数分の一、
選挙区内で済むので費用が抑えられます。
正直なところ、全比例にされると私達、選挙参謀は仕事が減ってしまいますしね。
公:私情が漏れ出てるのはさておくとして。
岬:他にも、個人での立候補が難しくなるのも欠点ですね。
尤も、個人で北海道や東北といった一ブロック全域に影響力を持っていれば、
不可能とは言えない訳ですが。
公:ほぅほぅ。
岬:それに、個人名での投票が出来ない為、どの候補者が通るかは、
政党任せになってしまう点もあります。
先程、A党が六人当選しましたけど、この六人ってどう決めるか分かりますか?
公:へ? えーと……後付けで勝手には無理だよな。
岬:そうです。当然のことですが、事前に登録する必要があります。それが比例名簿です。
きっちりと各候補に順番付けが成されている、議員先生にとっては、
閻魔帳にも似た恐ろしいものでもあります。
公:じゃ、次はその比例名簿について深めに聞いてみることにするかね。
今項目の纏め:比例代表制は死票が少ないシステム。基本的に個人名では投票出来ない。
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