2010
何だか、いきなりものっそい暑くなりましたが、皆さん、御存命でしょうか。私は何とか、死なずに済んでいます。何でも今年は、暑い週と涼しめの週がローテでやってくるそうですが、本当だろうな。嘘だったら暴れるぞ。
( ・ω・) 実際、暑い週が続いたら、暴れる気力も無いとは思うのだけれどね!
「!!」
「ほぉ、その顔は気付いたかい。随分と知恵の回る坊やだ。部下に欲しいくらいだよ」
「あなた、達は――」
意識するよりも早く、スピルの胸ぐらを掴んでいた。感情の昂ぶりを制御できない。海賊の幹部達に兄さんをなじられた時と同様に、僕が僕でなくなる程に心が揺り動かされていた。
「魔王軍が世界に侵攻して国家間の連携が取れない今だから、こんなことを」
想定しうる幾つかの事象が頭に浮かんだけど、最も納得がいった理屈は、最も反社会的と思えるものだった。
「金を儲けるということはそういうことだよ。世界にある富がさほど変動しない以上、ほころびを見つけて掠め取る術を見出すのが常道ってものさ。これは全ての商人が多かれ少なかれやってることで、咎められる様なことじゃない」
「商道の理屈は、僕には分からない。それでも、人としての矜持を捨て去ってまで進まなければならないものだとは思えない」
「知恵は回っても頭が固いよ。思い込みってもんが、商売をする上で一番、邪魔なもんなのさ。
人が魔王軍に侵略される時代だから、世界平和の為に一致協力しなきゃなんないなんて大抵の奴が考えるからこそ、今までに無い儲け話が転がってるってことになるんだよ」
僕の中の冷めた部分が、『考え方の違い』という割り切った言葉を囁いてきた。だけど、共通の敵が居るこの状況で、ここまで違う方向を向いている人が居ることを、認めたくなかった。シスを子供扱いしておいてなんだけど、これを受け入れることが大人なら、大人になんてならなくて良いとさえ思った。