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 拙著、センセーショナル・エレクションの一柳綾女は、大政治家、一柳正剛の孫娘です。その設定を盛り込んだ当初は、早まったかなとも思いましたが、数年経った今は、まあ、別に問題ないかなとも思っています。一般に世襲議員は批判の対象になりますが、結局、選挙という関門を乗り越えている以上、責任は有権者にある訳で。能力第一主義を標榜するなら、世襲であること自体を否定するのも了見の狭い話になりますし。結局、政治と世襲が切り離せない問題である以上、生え抜きの公康や西ノ宮と、良い対比になるかなと思ったりもする訳です。

( ・ω・) しかしバカの遺伝子ならば、公康はサラブレッド中のサラブレッドだぞ

「いい話じゃねぇか。俺もちょっと、うるっと来たぜ」
「ん……」
 まだ居たんですか、ダメなおじさん。
「良いんですか。こんな、客でもないどうしようも無い人を出入りさせて。只でさえ閑古鳥なのに、拍車が掛かりますよ」
「てめぇが言いやがんな」
 こりゃまた、失礼致しました。
「じゃ、明日の朝に取りに来ます」
 それまでに、やることを全て済ませて旅立とう。兄さんの手紙は、パープルオーブと同じ場所に入れて、と。
「で、あくまでもあなた達はついてくるんですね」
「うむ」
 もう、背景の一部として相手をするのもやめようとも思うけど、世間体を捨てきれる程に成熟してる訳でも無くて。ま、明日までの辛抱と思えば、我慢出来ないことも無いか。

「やいこら、てめぇら! ちょっと出てきやがれ!」
 一通りのことを済ませて宿に帰って来た直後、最早、逐一反応する気も起きない声を耳にした。
「何ですか、あなた方は。まだ夜って程の時間じゃないですけど、他のお客様の迷惑になるので、暴挙は慎んで下さい」
 いつもの様に階下に湧いていたのは、件のチンピラ二人組だった。応対する義理は無いけど、放っておくと宿のおばちゃんとケンカを始めるだろうし、仕方がない。
「こちらとしては正直、もうあなた達とは一点として接点を持つ必要性が無いのですよ。理由については、説明が面倒くさいので割愛させて貰いますが」
 スピル陣営としては、僕達がクワットさんと連絡を取ったという情報をもう得ているかも知れないけど、わざわざ教えてあげることも無い。

 

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『今日のお料理教室は、ミン・シュトウの作り方について学んでみたいと思います』
『先生、これ、何か腐ったみたいな匂いがしますけど?』
『主な材料が、自民党の最も腐った部分なのでしょうがありません』
『何で置いてある位置が、左寄りなんですか?』
『社会党の残党も、数多く確認されています。他にも、思想的に偏った市民団体ですね』
『小奇麗な材料も混ざってますね』
『いわゆる官僚崩れですね。ある意味、猿山の争いから転げ落ちたものとも言えるのですが』
『何と言うか、出来上がったものは、味が薄いですね』
『隠し味にタレントを使った効果でしょう』

( ・ω・) 偏ってると思うけど、あながち間違いでもないよね!

「『まー、最後はお前の人生だ。目で見て、耳で聞いて、全身で感じたことを踏まえて、自分自身の意志で決めろ。トウカにも似た様なことを書いたが、仇討ちなんてのは、人生を狭めるだけだ。俺は薦めやしないね』」
 兄さんらしい物言いだと思う。旅に出たのは、最終的には僕の意志であって、他の誰のものでもない。シスや、アクアさん、トウカ姉さんなんかも、それは同じことだろう。そのことは分かっているつもりなんだけど、改めてこう言われると、ドキリとさせられる部分がある。
「『以上。繰り返しになって悪いが、あんま死ぬ気も無いんで、どうにも気が乗らない。いつの日か、笑い話として公開できればいいだろうと思う。
 あー、あと葬式とか墓とか、大仰なことはやめてくれ。十年後ひょっこり帰ったとしたら、バツが悪くてしょうがないからな』」
 たしかに、父さんも生きているという前提で行動している以上、二年やそこら音信不通だと言っても、死んだと断定するのは早計だ。父さんについては良く憶えていないけど、あの兄さんが僕より先に死ぬとは思えない。だから、明確で客観的な証拠を目にするまでは、信じていようと思う。
「それで、終わり?」
「みたいだね」
 紙というものが薄っぺらい平面構造をしている以上、表と裏にしか書き込める部分は無い訳で。流石に、これ以上は見落としようがない。
「結局、大した情報は無かったね」
 はい、僕もちょっとくらいは思ったけど、そういうことは口に出して言わない。そりゃ、面識のないシスにしてみれば、重要性は薄いのかも知れないけどさ。

 何だか、鳩山前総理と小沢前幹事長が注目を集めてますが、あいつらド派手に辞めたの、たった二ヶ月半前……普通、ああやって中枢から離れた人は、一年は大人しくしてるもんだと思うんですけんどね。ここのところ、安倍ちゃんがチラホラ出てくるのでさえ、『まだ早いんじゃないか』って思うくらいですし。常識外れというか、人材が居ないというか、権力闘争しか興味が無いというか。

( ・ω・) 肯定する解釈が不可能ってのが、もうどうしようもないよね!

「そういえば、バーネットさんにも青年時代や、幼少時代、更には赤ん坊だった頃がある訳ですよね」
「てめぇは、俺を妖怪かなんかだと思ってやがんのか」
 いえ、毎度思うことなのですが、年配の方にも若い頃があるっていうのが、どうにも想像がしにくくて。逆にトヨ様なんか、いつくらいからあの喋り方と性格を身に付けたのか考えるとキリが無くなったりするんです。幾ら何でも三歳からああだったとは思えないけど、トヨ様なら五歳で有り得るんじゃないかって、無駄な夢想をしたりする訳なんですよ。
「それで、手紙はどうなってんの?」
 シスが途中で話を横道に逸らしておいて、その言い草もどうなんだろう。まあ、シスだからしょうがないと言えばしょうがない気もするんだけど。
「『この手紙に意味がある様になった時、お前が勇者になることを、俺は勧めも止めもしない。そりゃ、血縁が大望を受け継ぐのは筋論から言えば間違ってはいない。俺もそう思って、父さんを追った。だけどお前は、爺ちゃんを除けば、母さんの最後の家族だ。父さんも俺も、生きて帰るつもりではあるけど、絶対とは言い切れない。家族を第一義に考えるとすれば、お前は旅立つべきでは無いとも思う』」
 兄さんの論には一理あるとは思いつつ、きっぱりと否定の感情が湧き立った。甘いと言われるかも知れないけど、母さんにとって一番大事なのは、父さんであって、兄さんであって、僕でもあるんだ。だから、誰かが残ってれば良いっていう話じゃない。みんなで生きて帰って、初めて意味があるんだ。

 

 何だか、電子タバコなるものにニコチンが含まれていたとかで、指導だか何だかがされたようです。いやいや、煙草やめようって人が、ステップとして使うものでしょうに、摂取させてどうするんですか。
 まあ、それはそれとして嫌煙家として、10月の大増税でどう出るかが楽しみなところではあるんですが。

( ・ω・) そこには、ニュースも全く見ず、キレだす喫煙者達の姿が!!

 若干、ブラコンとシスコンの気があったのは否まないけど。
「十三までは魔法使いになる気満々で、兄さん達の失踪で勇者にならざるを得なくて――何回か言った気もするけど」
「そーいうんじゃなくて、女の子に突撃してこっぴどく振られたみたいな面白話無いの」
「シスにとっての面白さの基準が今一つ分からないんだけど」
 ってか、トウカ姉さんへの恋慕みたいな感情については、話してない気がする。薄々は、勘づかれてる気はするけど。
「それより、こういう話題だったらアクアさんでしょ」
 何しろ、一年以上の付き合いながら、十年前と十年後が、全く想像出来ない訳で。このままの性格の女の子とか淑女って、実際問題、浮くっていうレベルじゃないし。恐らくはきっと、ちょっとぐらいは、性格に違いがあるに違いないと思うんだよ。
「わたくしも、普通の女の子でしたわよ?」
 何だろう。この一言で、一気に僕の発言まで信憑性を失ってやいないだろうか。言葉の遣り取りっていうのは、何処までも奥深い気がしてならない。
「シスは七歳までの記憶がないけど、十歳までならトランスさんが知ってるよね」
 あんま話す機会が無かったけど、この際だから弱みの一つや二つ、握ってみたい気分になってきたよ。
「あたしこそ、ふつーの女の子だったよ。そりゃ、まだ小さかったから、家に忍び込むなんてのは無しで、金持ちからスるくらいだったけどさ」
 ここまで堂々と盗みを公言されると、嗜める気も起きなくなってくるから恐ろしい。

 

 久々にマジで暑いぞ、フルァ、とお嘆きの貴方。しかしある意味、この暑さにも飼い慣らされてるというか、34度までなら、割と普通に耐えられる感じになってませんか。35度超えて始めて文句を言うというか。いや、30度超えてたら、充分、暑いはずなんですけどねぇ。

( ・ω・) 天照じゃ、天照様がお怒りじゃー

「『母さん。子として、母親より先に死ぬことが何よりも罪深いことは、それなりには理解してるつもりだ。だけど、父さんと同じく、俺も覚悟を持って旅に出たんだ。分かってくれとは言えないけど、どうか許して欲しい』」
 仮定の話と言っても、僕達が死んだとすれば、母さんの悲しみはどれ程のものになるんだろうか。生きて帰るつもりはあるけれど、少なからずそういう可能性があることは、心を重くしてくれた。
「『最後にアレク』」
 ある程度は予測していたけど、自分の名前が出てくると、落ち着かない気分になってしまう。
「『泣き虫なところ、少しは治ったか? お前は、割と早くおねしょはしなくなったんだが、どうにも夜泣きが治まらなくてな。結局は、母さんか俺が一緒に寝て、落ち着かせてやったもんだよ』」
「流石は実兄、弟のこと、良く分かってるねぇ」
 よくよく考えてみれば、一つ二つならいざ知らず、五つも年が違う兄弟って、理不尽じゃなかろうか。ほら、兄は弟が生まれた頃から知ってるけど、弟が物心ついた頃に兄はもう十歳くらいな訳で。保持してる情報量が違いすぎて、端から勝負になんてなりやしない。世界の第二子以降の弟、妹達は、そろそろ連合して立ち向かうべき時が来ているのかも知れない。
「そういやさ。あたし達、アレクがどういう子供だったかって、あんま知らない気がするよね」
「ですわ」
 七歳までの記憶が無い人と、子供時代が全く想像できない人に言われるのもどうなんだろうか。
「別に、普通の子だったと思うよ。ちょっと魔法の話が、好きだったくらいで」



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