2010
そういやすっかり忘れてましたが、国会会期延期がなくなったことで、労働者派遣法の改正も順延されたんでしたっけ。
『国民の生活が第一(笑)』って、嘲笑っていいところですか。結局、どの議員も皆、議席が一番やねんで。議員に対してはその思想と能力を的確に読み取って、国民が『脅迫』ないしは『交渉』する以外ないと、いい加減気付かないかなぁ。
( ・ω・) そんだけ民度の高い国が、一体、世界の何処にあるんだって気もしますけど
よ、良く分かった。この人、腕はあるのに商売を度外視しちゃう典型的なタイプだ。そりゃ、お金が無くなってこんな酷いボロ屋でやるしかなくなっちゃうよ。
考えように依っては、僕達にとっては都合が良いとも言えるんだけどね。
◇
「良く来てくれたね」
日没から数刻が経った約束の時間、僕達はジョージさんが指定した宿屋の一室に足を踏み入れた。
「何だか、ややこしいことになってるみたいですしね」
世の全ての揉め事を解決するだけの器量は無いけど、せめて目についたことくらいは首を突っ込んで努力しようっていうのが、今の僕の目標だ。
「こちらが、私達、反スピルグループを取り仕切っているゴール氏だ。
そしてゴールさん、こちらが勇者アレクさんとそのお仲間です」
ジョージさんが間に入って、互いを紹介してくれた。
「聞けば、この世界が窮する中、全ての無益な紛争を排除する為、世界を回っておられるとか。その高い志、このゴール、感服致しております」
え、えー。ここまで持ち上げられると、流石に居心地が悪くなるんですけど。
「とりあえず、お話を伺います」
室内に据えられた円卓は、五人が掛けても尚、余裕がある程の大きさを持っていた。
この、一見すると雑貨屋のおじさんにしか見えない小男のゴールさんだけど、これだけの経済都市で一翼を担っている以上、それなりの肩書きを持ってるんだろうね。
「失礼。私の商売を説明しておりませんでしたね。この近くで、小さな雑貨店を営んでおります」
「……」
あれ?
「えー、それは町内各地に、何十店舗とかいう規模で――」
「いえ、一店舗だけですが?」
何だか、話が一気に矮小化しそうな、そんな切ない予感がひしひしとしてきたんですが。
2010
国民新党の、亀井郵政・金融担当大臣がその大臣職を辞したそうです。その理由は、郵政改革法案成立の断念だとか。何て言うか、すげーなぁ。時系列的には、所信表明演説の前に大臣が辞めたってことになるんですが。かつてあったんですかね、こんなこと。火曜発足で、金曜辞職ですよ。
自民党の谷垣氏も言ってますが、鳩山総理が辞め、福島大臣が罷免され、亀井大臣が辞任って、三代表全部内閣から去ったって、もうどうにもなってませんね。つーか、発足早々、総理ともあろう御方が、与党代表同士としての約束を破ったんですよ。今後、何一つ、守る保証は無いってことでことじゃないですか。
( ・ω・) 信義という観点では、もう地べたを這いつくばってるってことさ
「お、こいつぁ、ジパング製だな?」
バーネットさんは、刀身に巻かれた白布をスルスルと巻き取ると、そんな言葉を口にした。
「分かりますか」
「職人舐めんなよ、と言いたいところだが、何のこたぁねぇ。俺は若い頃、ジパングで修行したことがあってな。分かって当然さな」
成程、姉さんが言ってた通り、ジパングって鍛冶職人のレベルが高くて、聖地みたいな存在なのか。
ジパングでは、この剣を作った職人が消息不明で世話になれなかったけど、これだけ離れた地でその流れを組む人に会うなんて、人生ってのは奇縁で出来てるんだねぇ。
「刀身が曇り一つねぇってのは流石と言いたいところだが、柄の部分がちょっと緩んでやがるな。下手な使い手が、変な振り回し方でもしやがったか」
うぐっ、そ、それってもしかしなくても僕のせいですか。
うん、いや、まー、兄さんがヤマタノオロチの首を叩き切った時かも知れないし、犯人探しはやめておこうよ。
「まあ、そっちはすぐにでも直せるが、問題は鞘の方だな。ちょいと時間が掛かるぞ」
「どのくらいです?」
「二日か三日ってところか。何しろ、刀身が規格に収まらねぇ大きさと形だ」
「それくらいなら別に」
正直、三ヶ月と言われたらどうしようとか、ちょっと思ってたりしてたんだよ。
「よぉし、となりゃあ、この剣を作った職人との魂の大勝負だ。
うふぅ、血が燃えてきやがったぜ」
「え、いや、その前に、お代についての話なんかは――」
「あぁん? んなもんは終わった後で良いだろうが。邪魔すんじゃねぇ、ここからは、職人にしか分からねぇ領域だ」
2010
通常国会会期を延長するか否かで、民主党と国民新党が揉めているそうです。支持率が高い内に選挙を済ませてしまいたい民主党、特に参議院と、先延ばしにしてしまっては政局がどう動くか分からない為に、票田を復活させたい国民新党。どっちも、どーしょーもない理由で揉めてるのが、今の連立内閣らしいですけど、強いて言うなら国民新党に義がありますかね。元々、鳩山内閣で三党合意出来たのは、社民は沖縄の基地問題、国民は郵政問題だけはケリをつけるって話がついてたからでしょうし。
国民側は離脱も視野に入れていると牽制していますが、本当に本気かは測りかねますけど、社民が離脱したばかりなので効果は抜群でしょうねぇ。つーか、これを書いてる時点で決定してないとかどうよ。今日の午前に結論出すって話だったんですけど。
( ・ω・) まあ、どっちに転んでも荒れる訳で、蝋細工の支持率が溶けそうですなぁ
「あ、どうも。ジョージさんの紹介で来ました。鍛冶職人のバーネットさんは御在宅でしょうか」
僕達は扉を開けて玄関に入ると、そう問い掛けた。中には全身に筋肉のついた無骨な男の人が一人、鎚を手にして座っている。年齢で言えば恐らく初老なんだろうけど、全てを威圧しそうな眼差しの迫力は、下の世代と比べても遜色あるものじゃなかった。
「カミさんも助手も無しに一人でやってるんだ。俺がバーネットじゃなきゃ誰だってんだ」
「はい、その件についても既に伺っております」
「おちょくりに来やがったのか、このガキャァ!」
いや、そんなつもりは無いんだけど、何となく話の流れで言わなきゃダメかなぁって。
「それで、この剣の整備と鞘作りをお願いしたいんですけど」
話の流れを敢えて叩き折って、テキパキと兄さんの剣を差し出した。
「そんだけ好き放題言っておいて、よく何事も無かったように続けられるな」
「世の中、商売の話には私情を挟まないのが一番です」
親指を立てて、軽い感じで同意を求めてみた。最近、勇者とか関係なく間違った方向に器が大きくなってる気がしないでもない。
「ふぅん、たしかに如何に腕があろうとも、情に溺れすぎれば商売は失敗する。ガキのくせに、少しは分かってやがるな」
そして、何故だか微妙に賛同頂けたよ。正直、ちょっと想定外だったりするんだけど。
「まあ、その剣に免じて、暴言と放言は許してやる。名剣を目にするってのは、職人にとって血がたぎることなんでな」
あー、ちょっと分かるかも。僕も魔法使い分が多いけど、他人が高等呪文を使ってるのを見るとワクワクしたりするもの。
2010
本日、枝野現幹事長と、小沢前幹事長が引き継ぎということで会談したそうです。三分だけ。
え、三分って、何それ。『今日はいい天気だねぇ、参議院選頑張ろうか』くらいで終わるじゃないですか。そりゃ、一回も会わないのは、内部分裂説を助長するから、アリバイ作りとしてしょうがないにしても、小一時間くらい我慢出来なかったんですかね。目も合わさず、DSでもしてればいいでしょうに。
いや、むしろ三分で全ての事柄を伝えきれる早口と耳を持っていたのかも知れない。うぬぬ、侮れないぞ。
( ・ω・) まー、んなこと無いのは、分かってて言ってるんですけど
「あと、他に小剣も欲しいんで見て良いですか?」
「もちろん。ここは、武器の店だからね」
何だか、敢えて確認するまでも無いことを聞いたような気もするけど、ま、いいか。僕達は未だ意識を失ったままのチンピラ達を片付けることもなく、店内の物色を始めることにしたんだ。
◇
「ここで、合ってるよね?」
武器屋のジョージさんに教えて貰った場所にあったのは、想像していたより遥かにオンボロのあばら屋だった。正直、看板があるとか関係なく、営業してることさえ信じないレベルだと思う。
「何言っちゃってるかなぁ。こういう店の造りを拘らないとこ程、良い職人が居るってもんじゃない」
「シスのその論理に騙されて、何度、絶妙に微妙な味の定食屋に入ったか分からないけどね」
単に流行ってなくて改装費用も出せないだけだって可能性も、視野に入れておくことにしよう。
「と言いますか、この町が発展しだしたのは、ほんの数年前の話ではありませんでしたの?」
「ん?」
あ、あれ、言われてみれば、勘定が全然合わない様な。
「最初から、このボロ屋を建てたってこと?」
「そんな人は居ないでしょ」
「いやー、世の中、色んな趣味の人が居るからねー。廃屋好きを極めちゃって、こういうところに住みたくなっちゃったとか。或いはあたしの同業に入られないように、カモフラージュで住んでるとか」
「あー、でもお金を結構持ってるのに、狙われない為に質素な生活してる人って、結構、居るって言うしね」
「おめぇら! 人の店の前で、何好き放題言ってやがる!」
当然と言えば当然だけど、店内から怒られちゃったよ。
2010
菅新総理の自論と言えば、『増税しても景気がよくなることがある』ですが、総理になってもどうやらこれで強行突破するつもりらしいです。また、歴史に残る愚かな宰相が誕生してしまうのか。まあ、一垓分の一くらいの確率で成し遂げればいい意味で歴史に残るでしょうけど、まあ無理です。
( ・ω・) 経済オンチが新税制を語る……恐ろしい国になったものじゃ
「君達、今晩は時間を取れるかね?」
「あ、えー、はい」
今回、僕達はとりあえず三日は滞在し、何か予定が出来ればその都度連絡を入れると言い残して上陸した。他には、音沙汰もなく期限を過ぎたら、何かに巻き込まれている可能性が高いから捜索して貰いたいとも。何にしても、やることは先に済ませておきたいし、むしろ好都合とも言える提示だ。
「それは良かった。君達に、会わせたい人が居るんだ」
「スピルと、敵対するグループの長ってことで良いですか?」
「話の通りが良くて、助かるよ」
ええ、まあ、数少ない特技みたいなもんですので。
「それじゃ、すいませんけど、この剣の鞘を作ってくれるような職人さん教えてくれませんかね」
武器屋さんなら、そういう人とも繋がりがあるでしょうし。
「ああ、成程、野暮用ってのはそれかい。たしかに、そんな大剣を鞘も無く、布で巻いただけで持ち歩くなんてのは無いよねぇ。折角だし、整備も出来る人の方がいいかい?」
「出来れば、それで」
僕みたいな素人には、凄い切れ味のまんまに見えるんだけど、何しろ、ジパングのあの暑い洞穴で三年、更にはかなりの間、海風に晒してきた訳だから、普通に考えればかなり痛んでるはずだ。ここはいい機会だから、一つ専門家に見てもらうべきだろう。
「分かった。この店の裏に、バーネットっていう鍛冶屋の爺さんが居るから、話を通しておこう。少し偏屈なところはあるけど、腕はたしかだよ」
「助かります」
よぉし、これで目的の一つは達成、と。