2009
あ、ありのままに起こったことを話すぜ。来年度各省庁概算要求を足してみたら、90兆を超えていた。な、何を言っているか分からねぇと思うが、俺も何をされたか分からねぇ。今年度予算88兆だの、無駄を十数兆削減するだの、そんなチャチなもんじゃねぇ、もっと恐ろしいものの片鱗を感じたぜ。
( ・ω・) 毎日、ここに書くネタが尽きなくて楽やわぁ
「ん?」
「今度はどうしたの」
「いや、今、何か見えた気が」
旅をしていると、シスの嗅覚というか五感の強さには驚かされる。正直、僕の魔法なんかより役に立ってるかも知れない。世の中、適材適所っていうか、色んな才能があって回るもんなんだねぇ。
「それで、何が見えたのさ」
「んーと、光ってる感じ」
「……」
表現力は、もう少し鍛える余地がありそうだけどね。
「それって、氷じゃないの?」
何しろ、本当に一面が凍りついた白銀の大地だ。鋲がたくさんついた特製のブーツを履いてないと、普通に歩くのも辛いくらいだし。
「ま、ちょっとした丘かもしんないけどね。少し違和感あったくらいだし、近付いてみないと何とも」
「じゃ、とりあえずそっち行ってみようか」
身を切る程の寒さの中でも、明確な目標が定まると意気が上がる。人間って不思議な感じに出来てるよねと、少し思ってみた。
「これって……」
シスが知覚した『光る物』の正体は、何て言うんだろう。一言で表現すると、『氷の神殿』だった。
御屋敷と読んでいい規模の建築物で、先鋭的なデザインと壮麗さを鑑みれば、やっぱり『神殿』なんだと思う。氷で出来てることを考慮から抜かしても、ここに住むっていう発想には、中々ならないはずだ。
「聖職者として、アクアさんの見解をどうぞ」
「陽射しが強い日は、とっても中が眩しそうですの」
うん、聖職者の部分が全く関係ないよね。大体、予想してたことだけど。