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 『それゆけ黄龍ちゃん!』は社会風刺作品であるという評価を時たま頂くのですが、書いた本人は『へー、そうだったのか』というリアクションに落ち着きます。何か、ピンと来ない部分があります。基本、あれは、ダメな奴らの観察日記みたいなスタンスで書いてるもので。そういう意味で、人間風刺作品というのなら、納得出来る部分も多いのですが。

( ・ω・) 人間は何で同じ過ちを犯すのかというテーマは、奥深いと思いますけどね

「更に言うのであれば、船をアレル殿に渡したこと自体は、それ程の問題でも無いと考えている」
「は?」
 ついさっきの怒り様は何処へ行ったのか。そろそろ、頭が付いてこなくなってきたよ。
「たしかに、この御時世、黒胡椒と引き換えに船を与えたことは断罪されるべきでありましょう。だが、勇者を相手にしたという点に於いては、むしろ評価すべきさえとも考えます」
「詰まるところ、纏めると――」
「王が勇者と認めたのであれば、然るべき手続きの後、与えるのも良いでしょう。その時は私の様な者に糾弾されるやも知れませんが、後に彼らが世界を平和にすれば、それを補って余りある名声を、ポルトガという国家が享受することが出来る訳ですから、一種の投資とも言えます。
 ですが、黒胡椒と交換などという条件を持ち出すから、王の見識を疑われるのです。それではあくまで、対価としての船となり、勇者という人物を見抜いた評価はなされない。それでは、意味が無いでしょう?」
 成程、ね。単純に船を相場通り売買するってだけじゃなくて、将来、どれだけの見返りがあるかまで考えろってことか。商人的発想というのも、これはこれで奥深いみたい。
「当時、クワットさんが王の立場にあったら、兄さんに只で船を与えたってことですか?」
「それは分かりかねます。間が悪いことに、その時期はちょうどイシスで買い付けをしておりました故、勇者アレルに直接は会っていないのです。私は、自分の目で見たものしか信じない主義なもので、判断材料が足りません」
 あらら。
「じゃあ、兄さんがポルトガの後、何処に行ったかも知りませんね?」
「ええ、生憎と」
 それは残念。ちょっとくらい手掛かりを得られるかと思ったのに。
「ですが本日、勇者アレクと出会うことが出来た。何という素晴らしいことでしょうか」
「……」
 はい?

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