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 黄龍ちゃんも終わって、何を書くか悩んでいた私が居ました。そんな中、ふと、『読み切り短編書けば良いんじゃね?』という神の啓示が。ははぁ。仰せのままに。つー訳で、何となく始めます。何日で終わるか分かりませんが、まあ、気が向く限り。タイトルは『噛ませの品格』。

( ・ω・) 思い付きでの行動なら、負けないよ?

 さて、諸君。噛ませ犬という言葉を御存知でしょうか。元々は、若い闘犬を調練する為、老犬などを噛ませることからきている言葉です。転じて、主役を引き立てる為、脇役が屈辱的な仕打ちを受けるという意味でも使われています。
 一見すると、主役の座を諦めた者達にさえ思えます。だが、侮らないで頂きたい。彼らは彼らで、主役級の面々に劣らない努力をしているのです。今日は、その一端を紹介することにしましょう。
「ふふふ……良くここまで勝ち上がってこれたな。途中で負けやしないかとヒヤヒヤしたぞ」
 大会モノで良くあるこの台詞。しかしこの程度では、一流の噛ませとは言えません。むしろ名勝負を生み、後世、絶大に称えられる可能性も十二分に秘めています。では一体、どうすれば良いのでしょうか。
「ふっ、奴が勝ったか。さぁて、次は俺の番だな」
 これが、限りなく正解に近いと言えましょう。ここでぽっと出の新鋭にケチョンとやられ、『バ、バカな……』と捨て台詞を残してこそ、噛ませオブ噛ませなのです。もちろん、この台詞を放つという絶対的劣勢を覆し、勝利を収める御仁もおられますが、我々、噛ませ連合から見れば惰弱もいいところ。お話にすらならないのです。
「ふん、この湿原の覇王と呼ばれた我に歯向かうとは良い度胸だな」
 仰々しい二つ名などを備えているのも、噛ませとして望ましい条件です。
「全国大会準優勝の俺を捕まえて、雑魚などとは良い面の皮だぎゃー」
 過去の実績を、さりげなく、且つくどくどしいまでに述べるのも良いでしょう。ここで重要なのは、優勝者ではいけないという点です。むしろ主人公無二の宿敵として、格好のポジションを得てしまいます。但し、有名どころが殆ど出場しなかった、形骸的優勝であれば話は別ですけどね。

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